閑話その参

親子三人で入門

さてどこまでお話ししましたかの、そうそう無事御台所から金子をせしめたところまで

でござったの。

翌日さっそく藩の剣術部に親子三人入門のおゆるしをもらいにまいった



  「あーこれ、けい之介 ひろ之進、ここへまいれ」

  「はい」
  「あ〜い」

  「こちらにおられるのが当藩剣術指南役


  
雲行流開祖、雲国斎殿じゃ、ご挨拶なさい」


  「けい之介でございます よろしくご教授のほどを」


 
「うむ 利発そうなご子息じゃの」


  「ひろ之進でしゅ よろちくおねがいしましゅ。うんこ くさい先生」


  
「ちがう、うんこ くさいではない  うんこくさい殿じゃ、‘こ‘のとこ

   ろできってはならん う・ん・こ・く・さ・い殿」



  「うんこ・くさい」

  「う・ん・こ・く・さ・い」
  「うんこ流 うんこ くさい」



  「ばかたれ」


  「これこれ人の名前でなにを遊んでおる、さっそく今日から稽古を

  始めるとしよう、まずはすり足からじゃ、わしがやってみせるから

  まねをするように」


  
「これひろ之進なにを丸まっておる」



  「うんこのまね」




  
「すり足をまねするの」

  「うんこがはしってる」
    ぼかっ

  「まじめにやるように」

  「うんこにぶたれた」   ばきっ


  「貴殿のご子息はバカじゃの」


 
「面目ないひらにご容赦を」



なんだかんだがありまして、ようやく剣術の稽古が出来るようになりもうした


一年も過ぎると、子供たちもなんとか様になってき申した。


拙者はというと、生来生まれもっていた才能が花開いたというかめきめきと上達し



初段を一発合格(まあ私の腕前では当然のことだが)八段までは程遠いが


千里の道も一歩から、一年後の二段審査をめざして



日々鍛錬にあけくれておりました・・・・が・・しかし


良いことばかりは続き申さん、拙者の体には恐るべき病魔が忍び寄っておったのです


それは三月のある日のことであった。いつものように稽古に励んでいると突然全身に


電気が走ったような感覚とともに、手の平をかみそりでザクザクと切り刻まれるような


痛みが襲ってき申した。


これはただ事ではない、やばい・・・・急いで医者のところへ



れんとげん検査の結果【頚椎屁留煮亜】という診断でござった


なんでも首の骨の軟骨みたいなものが神経を圧迫している、ということでくわしい


診断は絵無亜留藍で見てみなければわからないということでござった。



「はー、肝の病のつぎは頚椎屁留煮亜かついとらんのー

 まあしばらくすればよくなるじゃろう、昇段審査まであと

 一ヶ月以上あるし」




これがいかに甘い考えであったか思い知らされるのは四日後のことであった





四日後病院の診察室で



「あー先生、いつ頃から剣術の稽古はできますかの」


「あんたあほか、このままほっとけば剣術どころか日常生活もままなら

 んようになるで、いやほんまに」




がびーん、考えが甘うござった一週間か十日も休めば治るだろうと思っていたのに


剣術の稽古どころか日々の暮らしにも支障をきたすとは、心底参り申した。


「そんなにおちこまんでもよろしおまんがな手術すれば治りまっせ」


「ほんまでっか」
(大阪弁がうつりよった)


「なんで嘘言いますかいな、こんなもんちょちょいのちょいやイヒヒヒヒ」


「ほな先生おねがいしますう」


「わてにまかしときなはれ」





かくして何も知らない拙者は手術をうけることになり申した


しかしこれが地獄の闘病三ヶ月のはじまりだとは知る由もなかった。






                    ではまた明晩




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